2005年03月14日
その花は
その花は俺様のものである、と
貴様なんぞに用はないぞ、と
どこからともなく現れた鶫が
胸を張り 天を仰ぐ
左様ですか、では、私は退散致しましょう、と
爪先を翻したところ
小太りの猫が枝を一息に駆け上がる
間一髪 鶫は這々の態で飛び去った
梅の花は鶫のものではなく
ましてや私のものではなく
猫のものでもない……と思ったその刹那
遣り場のないしくじりを振り払うかのように
花に齧り付いたちび猫
ああ その花は誰のもの
投稿者 nasuhiko : 23:14 | コメント (0) | トラックバック
2005年01月03日
雪の色眼鏡
この美しさ 目映さ 静けさ
白にだって陰影があるのだけれど
反射光は目を欺き
世界をやたらに明るく見せる
この美しさ 目映さ 静けさ
この美しさの下に 目映さの下に 静けさの下に
目隠しされた現実がある
朝になって溶けはじめた白き原の上を
土色のものがこちらへむくむくと動いてきた
猫だ
ああ あの猫か
投稿者 nasuhiko : 17:33 | コメント (0) | トラックバック
2004年12月20日
公孫樹
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すべての葉を落とし
風の中に立ち尽くす
すべての葉を落とした君は
屹然としていながら寒々と
屹然としていながら白々と
それは仮の姿に過ぎぬのだ
やがてまた瑞々しい緑髪に覆われる
仮の姿で待つばかり
今はただ漲る力を内に秘め春が来るまで
今はただ冷たい風が吹き過ぎるのを
ところで、君と一緒に見送った彼の乙女は
旅立ってしまった
もう、戻らない
さようなら
投稿者 nasuhiko : 10:16 | コメント (0) | トラックバック
2004年12月07日
闇の中で朝を待つ
赤
茶
緑
青
赤
黄
赤
全ての色は次第に暗く次第に黒く
打ち寄せる闇に溶け込んでゆく
暗赤
暗茶
暗緑
暗青
暗赤
暗黄
暗赤
やがて夜も深くなり
何もかもが暗黒に沈む
黒赤
黒茶
黒緑
黒青
黒赤
黒黄
黒赤
また新しい朝の光が照らすまで
黒いままじっと待ち続ける
ところで、明日も朝はくるのでしょうか
それは誰にもわかりません
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2004年11月29日
笹の根を追う
すくすくと伸びる笹の
その足元は如何なる有り様かと
気になり出した
掘ってみました
掘ってみました
すくすくと伸びている
その頑丈な笹の根は思いもかけぬ彼方まで
すくすくと伸びている
毎日少しずつ掘っている
昨日も少し 今日も少し
そしておそらく明日も少し
笹の根はすくすくと伸びていて
まだまだ続く
そしておそらく明日も少し
ところが、ここに壁があるのである
笹の根は隣家の庭へと続いている
笹叢に風が吹く
さあさあ さあさあ
さあさあ さあさあ
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