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2005年09月22日

icon失礼ですが、どちらへ? 2


 昨日の続きですから、昨日の分を読んでいない方は、昨日の分を先に読まれるが宜しかろうと思います。

 若いお巡りさんが、私のメモ書きを毟り取るようにして、走り去って、その場には、私と年輩のお巡りさんが残された形。「悪く思わないで下さい。まだ若いもので、一所懸命なんですよ」などと仰る。つまり、先の若い人の振る舞いは、同業者の目から見ても、些か無礼だということなのだろう。「私らも仕事ですからね。御協力下さい」とね。漸く、一息ついて、こちらも、はあ、だの、そうですか、などと相槌を打つぐらいのことはできるようになった。「何事ですか」と尋ねると、「いや、何、通常の警備なんですけれどね」とお茶を濁すような口振り。そうこうするうちに、若造くんが駆け戻り、「確認取れましたーっ」と怒鳴る。こんな近いところで、そんな大声を出さんでも良かろうに、と思うほどの声であった。先程のメモを返してくれるのは良いけれど、無言でね。しかも、握り締めて走ったからか、よれよれになっている。此方も、少し落ち着いてきたから、これ見よがしに、よれよれのメモを丁寧に伸ばしたりして見せたが、意に介する風ではない。「御協力ありがとうございました」と年輩の方が、形ばかりの、いやに気の抜けた敬礼をしてみせた。少なからず、気分を害しているもので、「もう行っても宜しいのですな」と嫌みったらしく確認すると、年輩殿は首肯くも、若造くんがいけない。「こういうところに下駄履きなんかで来るから、お互いに手間くっちまうんだよ」というようなことを聞こえよがしに呟きおった。かーっと、頭に血が上ったけれど、何しろ、内心では、ぼーっとしていたせいで下駄履きのまま電車に乗ってしまった、という思いがあるもので、何も言葉が出てこない。ぶつけようのない憤りを胸に、エレベーターに向かう以外に、私に何ができただろうか。

 辿り着いた知人宅で入り口での出来事を話すと、先方、「何が疑われたのかねえ」と大笑い。私の顔を見て「悪人面でもないのにね」と重ねて大笑い。大笑が一段落したところで、説明してくれたところによると、何でも、このマンションの中には後藤田官房長官の事務所だか何だかがあるとかで、年中、厳しい警護が敷かれている、とのこと。「しかし、うちに来る人間で警備のお巡りさんに疑われたのは、君が初めてだよ」と猶も大笑い。私はただただ憮然とするばかり。

 後藤田正晴さんと私との、縁とも言えぬ縁というのはこんな次第であります。結局、私は後藤田さんにお会いしたことどころか、間近く見たこともない訳で、先方にとっては、私なんぞ存在しないも同じですな。兎にも角にも、御冥福をお祈り申し上げる。それにしても、あの若造お巡りさんは、今はどうしているのかねえ。

投稿者 nasuhiko : 2005年09月22日 19:39

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