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2005年09月21日

icon失礼ですが、どちらへ?


 後藤田正晴さんが亡くなられたそうである。私よりも、大分、御年配であるから、ここはやはり天寿を全うされた、と表現するのが適切であろう。兎にも角にも、御冥福を祈る。知人である訳ではないし、ここであれこれ語るほどの何かを知っている訳ではないけれど、ふと昔々のちょっとした出来事を思い出したので、書いておこうと思う。全く縁がなかった、ということでもないのですな。尤も、縁があった、ということではないけれど。

 かれこれ二十年以上も前のことだと思うけれど、とある友人宅を訪ねようと、飯田橋にあるマンションに出向いた時のことである。盛夏という程ではなかったけれど、未だ未だ秋の気配は見えてこないというような時節であったと思う。休日のこととて、開襟シャツ一枚。勤め人時代のことだから、地味な濃いグレーのズボンか何かだったであろう。まあ、珍しい服装ではない。しかし、暑さでぼうっとしていたせいか、あるいは、日頃からぼうっとしている頭のせいか、その日は、下駄履きの侭のこのこと遠路をやって来てしまったのである。下駄履きの人なんざざらにいた時代の名残り……というぐらいの時代のことであるから、まあ、下駄履きはそうそう珍しくはなかった、と思う。けれども、以前にも書いたかもしれないけれど、私としては、電車で出掛けるような折には、しかも、それが洋装の折には、靴を着用するように心掛けていたのだから、何故、その日に限って、下駄履きのまま電車に乗り込んでしまったのか、不明である。やはり、ぼうっとしていたのでありましょう。
 それで、地図を片手に、神楽坂からちょいと折れて、目的の大きなマンションの入り口附近に辿り着いて、やれやれ、と一息ついたところ、左右から、警察官がすーっと寄ってきたのである。そして、私の両脇に立ち、年輩の方のお巡りさんが「失礼ですが、どちらへおいでですか」と問い掛ける。悪いことをしている訳ではないし、疚しいことなどなかったのだけれど、如何んせん、警察というものに縁がなかったところの突然の出来事、あわあわあわあわしてしまってですな、あの、だの、その、だの、ともぐもぐ口籠るばかり。すると、その姿を見た未だ二十代ではないかと思われるような若い方のお巡りさんが「身分を証明できるものを持ってないの」と、居丈高に問い質す口振り。私はますます狼狽して、あたふたするばかりで声が出ない。そこで、手に持っていた地図と知人の住所電話をメモした紙を見せたのであります。すると、若いお巡りさんはメモを毟り取るようにして、小走りにその場を離れたのである。

 ちょいと、長くなったので、続きは明日にでも書くことにします。

投稿者 nasuhiko : 2005年09月21日 18:36

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