2005年08月31日
全くどうでも良いのだけれど
![]()
ふらふらと散歩をする。いつもは公園だとか川だとか、比較的自然の多い方へ多い方へと足が向くものであるけれど、今日は、どういう風の吹き回しか、通りの方へ出てみようという気になった。そうすると、やはり、目に映るものは、異なりますな。当たり前である。ビルと道路と人、人、人、おまけにもひとつ、人。しかも、人々は急いでいる。のんびりしているのは、二人組の小学生の女の子たちと私ぐらいのものである。見慣れた光景ではあるけれどね、それでも、味気ないですな。尤も、私だとて、勤めていた頃には、御同様、齷齪齷齪していたのでありましょう。自分ではそんなつもりは少しもなかったけれど、きっと傍から見れば、忙しそうに見えたのではなかろうかと思う。
そんなことを思いながら歩いていると、殊更にのんびりした人が現れた。黒い半ズボンに水色のTシャツ。Tシャツの胸には蝶々が描かれている。足元はと言えば、素足に黒いゴム草履である。のんびりと、というよりも、どちらかと言えば、へらへらと、という風に、私の前方を歩いている。幾つぐらいだろうかねえ。三十代か。四十代位だろうか。若くはない。けれども、じじいという程には老けている風でもなく。私よりも歩みが遅いその御仁、通り沿いの店に吸い込まれていった。一体、何処に入ったのだろう、と覘いてみると、お仏壇の何とかという、有名な仏具店なのである。驚きませんか。半ズボンにTシャツ、草履履きで仏具店ですよ。一昔か二昔か、あるいは、もっと前の流行りだったかもしらんけれど、よく「TPOを弁える」などというような物謂いが流行りましたな。それを思い出した。今の時代は、そんなことは関係ないのかもしれないけれど、仏具店にあの服装のへらへらした人物というのは、何とも似合わない。硝子張りの店の前を通りしなに覘いてみると、制服を着たきちんとした女性と対座して腰掛け、何だか説明を聞いているようであった。硝子にへばり付いて覘いているてえ訳にもいかないので、先へ進んだけれど、あまりに気になったので、決心して、Uターンして戻ってみたのであります。そうしたところ、丁度、出てきましたよ。入り口まで女性に見送られてね。件の男性、店の前で、包みを開き、「へえ、こんな仕上がりなんだなあ」などと呟き、手に取って見ているのが、何と位牌なのである。真っ黒という風でもないから、紫檀か何かだろうかね。引っ繰り返したりして、一頻り眺めたと思ったら、元の包みにざざっと包んで、元来た方に歩き始めたのでありました。鼻歌交じりにですよ。ううむ。胸の奥がこそばゆい。いけないということはないけれど、何とも不思議な光景である。時代なんですかねえ。それとも、あの人だけが、ちょいと変わった人なのか。何だか、一気に半世紀も歳を取ってしまったような気のする午後でありました。
投稿者 nasuhiko : 2005年08月31日 19:47
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://bokenasu.net/mt/mt-tb.cgi/289