« 雨だね | ホーム | さようなら、貴ノ花02 »
2005年05月31日
さようなら、貴ノ花
![]()
貴ノ花が亡くなられたという。昨日の雨は、天の零した涙の粒だったのか。未だ五十五歳という若さである。残念でありますなあ。
然程相撲に熱狂したことはなく、通り一遍の、当たり前の知識、当たり前の興味しか持ち合わせていない私であるが、貴ノ花だけはちょいと特別な気持ちで見ていたのである。というのも、その昔、この御近所には二子山部屋と花籠部屋があり、お相撲さんを町中で見掛けることも少なくない、相撲の町だった時代があるのである。色々なお相撲さんがおりましたな。総じて、大きくてふっくらとして、何となく愛嬌があるのだけれど、非常に接近して見ると、やはり、一種独特の迫力があって、屡々びっくりさせられたものである。
貴ノ花が未だ貴ノ花ではなく一少年花田であり、中学に上がるか上がらないかというぐらいだっただろうか、マリと近所を散歩していた際に「ほら、あの子が若乃花の弟なのよ」と教わったことがある。お遣いだったのだろうかねえ。近所にやって来ていたオート三輪の八百屋さんに何か買いに来ていたのである。お節介なおばさんが、「あんた、こんなとこで買い物したりするのかい」と声を掛けたら、照れ臭そうに「はい」と一言だけ答えて、走って帰っていく姿を思い出す。この一件から、私は、花田少年に非常に親しみを覚えるようになったのであります。
マリが何処で知識を得たのかは判らない。けれども、彼女もテレビ中継は観ていたようであるし、何だ彼んだ言っても相撲というものが今と違って、国民的な人気を誇っていたように思える。あの若乃花の弟というだけで、花田少年は御近所では既に有名な存在だったのかもしれない。あれから何年経ったのだろう。四十年とちょっとかね。角界に名を残す大変立派な成績を収め、前代未聞の人気を誇っただけでなく、二人の息子たちを横綱に育て上げた五十五歳。未だ未だこれから色々な未来が待っている筈だったろうに。私のような役立たずのぽんこつがのらくらと生き延び、彼のような立派な若者が世を去っていく。不平等なものである。尤も、人の生の価値なんざ、長さで計れるものではありません。五十五年と一口に言っても、ぎゅうぎゅうに実の詰まった、しっかりとした五十五年であったに違いない。ううむ、こんな物謂いは何の慰めにもなりませんかね。
兎にも角にも、御冥福を祈る次第。
投稿者 nasuhiko : 2005年05月31日 15:42
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://bokenasu.net/mt/mt-tb.cgi/198