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2005年05月07日

icon映画鑑賞


 田村師匠と円嬢と三人で、美味しい美味しいカナディアン・クラブをちまちまと舐めながら、映画鑑賞会のようなものが始まったのでありました。その『イージー・ライダー』だけれど、私は若い頃にマリと一緒に観たことがある。恐らく、銀座だったように思う。世間で話題になっていたので、観に行ってみようか、ということになり、出向いた次第。二人とも感心することなく、観終わって、何か洋食を食べてから帰ったのだったろうか。そういうぱっとしない思い出があるのだけれど、若い御二方に、観る前からそんな話をしたのでは興醒めであること甚だしい。場合によっては、他のにしましょうか、などと、気をお回しになるかもしれない。そんなことになっては申し訳ないので、昔観たことがありますよ、というようなことだけを、曖昧にもごもご呟くように教えておいた。
 さて、映画が始まる。いやあ、しかし、こうやって、集まって観るのも良いですな。暗い中で黙ってじっと集中するのも良いけれど、わいわいお喋りしながら、そして、合間に、この妙に芳しい酒を舐めながら観るのも大変宜しい。意外な発見である。
 映画の筋に立ち入ったりすると、またごちゃごちゃしてくるから、それは放っておくけれど、いやあ、中々良い作品ではないか。いや、寧ろ、素晴らしい作品ではないか、と思う。この三十余年で、私が漸く作品に追いついて理解できるようになったということかもしれませんな。実を申せば、昔観た時には、映画の中の若者たちの生活や感覚は、とんと理解できなかったのである。当時の私は、寧ろ、イージー・ライダーのような人々に眉を顰める側に近かったのかもしれない。恐らく、未だ四十にもなっていなかったであろうに。今、考えると、とてもとても不思議なことに思えるけれどねえ。例えば、新宿辺りには、ヒッピーみたような若者たちが、うろうろするようになっていたけれど、あんな生活は私とは縁がないものだと思っていたし、ああいう文化が日本に根付くとも思っていなかったし。彼らはヒッピーとかいうものに被れているだけであって、いずれ、もうちょいと歳を取れば、髪を切って、普通の勤めに就くに違いない、と思っていたのであります。その後、実際、そうなったともそうなっていないとも、どちらとも言い難いけれどね。兎にも角にも、私としては、何だか他人事みたいに思えていたのですよ。それで、この映画が理解できなかったのだろう。あるいは、理解したくなかったのかもしれない。何しろ、何十年も前のことなので、もやもやとしていて判然としない。
 確かなことは、今回は、大きに感動した、ということである。もし、一人きりで観ていたのなら、最後のシーンでは涙が零れたかもしれない。呆気ない、一瞬の結末が、この、老い耄れて殆ど枯渇している、古びた心を大きに揺らした。ああ、こんな機会をくれた若い友人たちに感謝の杯を捧げる老い耄れであります。そうそう、カナディアン・クラブを教えてくれたことにも大きに感謝せねばなりませんな。ありがとう、若き友よ。

投稿者 nasuhiko : 2005年05月07日 20:46

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