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2005年05月03日

icon少しだけ派手やかな白い蝶


 のんびりとした午後の陽射しが緩やかになったころ、水遣りをしようと小庭に出た。すると、ちび猫がちりりんちりりんとどこからともなく姿を現した。「御機嫌は如何かね」と問い掛けると、にゃあとも言わずに、地べたにごろり。毛皮に包まった彼女(推定)には些か暑過ぎるのか、少々ばて気味の御様子。まあ、それにしたって、雨が降るよりは余程良かろう。さて、例によって、鈴廣の蒲鉾を分け合おうかと部屋に戻ろうかとしたところ、庭の隅の方をふらりと白い蝶が飛んでいる。何となく気になって見ていると、枯れる一歩手前といった感じの蒲公英に止まり、一休み。気に入らないのか、ふわりと舞い上がるとすぐ隣の名前の判らぬ白い花に止まる。翅をうっすらと開いたところ、先端が橙色である。普段見かけている紋白蝶とは全く違う、未だ嘗て見たことのない代物である。急いで、それでいながら、件の蝶を脅かさぬように静かに、部屋に戻り、デジカメを取ってきましたよ。ゆったりと待っていてくれるだろうか、と心配しながら近づくと、未だそこにいる。何とか内側の橙が見えるように写真が撮れれば良いのだけれど、と、すうっと、私の心持ちとしてはすうっとですね、カメラを寄せていったところ、ぽわっと舞い上がってしまった。行き先を目で追ったけれども、夕焼けと重なったところで、見失ってしまった。ううむ、何とも残念である。しょうがないから、先の白い花をアップで撮ってみたりするものの、撮り損なった蝶のことが頭から離れない。白い翅の先端だけ控えめに橙色に塗られ、奥床しくも派手やかな、和の美を体現したような姿。いやいや、こんな仰々しい形容は余計なお世話ですがね。
 部屋に戻って、『新世紀ビジュアル大辞典』で調べてみると、ツマキチョウというものであるように見受けられる。けれども、載っているのが写真ではなく絵であり、翅の外側が映っていないので、今一つ、得心がゆかぬので、猶も、インターネットで検索すると、ああ、ありましたよ。『冬鳥夏虫「長池公園ぶらぶら日記」』というところに、はっきりとした写真が載っております。そうそうこんな模様でしたよ。表側も墨絵のような品の良い色合いである。撮り損なって甚だしく気落ちしていたけれど、私の如き老い耄れが撮らずとも、こういうきちんとした写真が見られる訳で、全く以て有り難い世の中である。それにしても、あの蝶を見るのは七十余年の人生で初めてのように思うのだけれど、『新世紀ビジュアル大辞典』の「ツマキチョウ」の項には、日本全土に見られる、というような記述がある。だとすると、今まで見かけなかったのは、私の目が節穴だったからなのでありましょう。些か釈然としない、不思議な気持ちがするけれど。

投稿者 nasuhiko : 2005年05月03日 19:07

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