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2005年04月25日

icon集中中


 福寿庵で天抜きと清酒。近頃じゃ、跡継ぎ息子も気が利いてきて、酒と言えば、黙って、冷で澤乃井を持ってくる。本日は、坂本くんは不在の様子。息子くんによれば、近頃は音楽熱が盛んだそうである。あれこれとCDを買い込んでは、轟音で聴いている、とのこと。尤も、轟音なのは耳が遠いせいだろうけれども。田村師匠の影響がこんなところにも出ておるのだろうか。師匠もちょくちょくここで笊を啜っておるという。友人と友人が知り合って友人の輪が広がるのは、何とも嬉しく、少々鼻が高い気すらするものである。然り乍ら、その一方で、私の知らないところで、二人の親交が厚くなってゆくのは、何だかちょいと嫉ましいというか何というか。じじいのくせに、しかも、男友達に何を嫉妬しているのやら。全く以て莫迦である。
 散歩がてらに、ぶらぶらと遠回りしながら、歩いていると、広場の草叢で、宇宙人面したちび猫を発見。ぴょこぴょこ兎みたように跳ねたりしている。変わり者だね。おーい、だの、君ぃ、だの、ちび猫くんよ、だのと呼び掛ける。いつもなら、振り返り、機嫌が良ければ、にゃあ、と返事が来るところ。しかしながら、本日は、私の声に何の反応もしてくれない。もう一度、呼んでみる、おーい、ちび公くんよ、と。しかし、この度も全くの無視。無視。無視。まあね、考えてみれば、私が声を掛けたからといって、返事をしなければならない、という義理がある訳ではないのである。何しろ、先様は余所様のお宅に飼われておる猫である。けれども、たまには蒲鉾を分け合う仲であるわけで、振り向くぐらいしてくれても良いのではないか、とも思う。兎にも角にも、一体、何をしているのか、忍び足で近づいてみた。すると、あれですよ、蜥蜴です。尻尾が切れて、尻尾は尻尾でくねくね動いている。これが世に言う蜥蜴の尻尾切りなんでしょうな。尻尾の切れた蜥蜴を見たことはあったけれど、切り立てほやほやでくねくね動いている尻尾を見るのは初めてである。思ったほど、不気味ではなく、寧ろ、不思議な感じか。しかしながら、折角の尻尾切りも、今回は奏功しなかったようである。ちび公くんは、蜥蜴本体に夢中な様子。撫ぜるように柔らかく触っては、自分が飛んで下がったり、何がしたいのか判らない。兎にも角にも、殺したり、食べたり、ということが目的ではないようである。要するに遊びなのか。しかしながら、遊ばれている方は堪ったものではないので必死に逃げようとするのだが、宇宙猫くんは、行き先を塞いでしまう。残虐なようではあるけれど、猫としての本能がさせていることだと思うと、残虐だ何だというのは人間の勝手な思い込みに過ぎぬとも言える。ううむ、難しいところですな。五、六分程、あるいは、もう少し眺めてみたけれど、集中中のちび公くんの集中振りは途切れそうになく、何となくもやもやした気持ちのまま帰途についた老い耄れである。

春の苑 猫の戯れ 胸痛し
 生まれながらのものと思えど

投稿者 nasuhiko : 2005年04月25日 19:27

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