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2005年03月13日
神風は吹き続ける
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今朝のNHK杯を御覧になった方も少なくないでしょうな。勿論、朝から羽生扇子を持ち出してきて、暑くもないのに煽ぎましたとも。ぱたぱた煽いで、おお、と呟き、ぱたぱた煽いで、天晴れ、と声をかけ、ぱたぱた煽いで、勝利を寿ぎました。羽生扇子の起こす神風は相変わらずであります。
対戦相手は森内くん。四月からの名人戦の前哨戦だとも言えるわけで、ここで勝ったのはいつにも況して結構なことじゃござんせんか。そんなこと言ってもね、君ぃ、早指しでは参考にならんよ、と仰る方もおりましょうが、勝負だって、人間がやる以上、実力だけではなく、気も重要な要素でしょう。勝った方は気分良く試合に臨める。負けた方は何となく嫌な心持ちがする。そんなものではないでしょうかね。
解説しているのが、先崎くんというのも面白いところですな。NHKもなかなか人選に優れておると言えましょう。この顔ぶれを見れば、小学生時代の勝負を思い出さない訳がない。ここに村山くんがいれば、益々結構なことだったんでしょうけれど、こればかりはNHKがいくら策を練ろうとも、天に勝つ手管はないわけで、仕方がない。残念なことですけれどね。
考えてみれば、出発点ではかなり接近していた四人のその後がこんな形で対比されると、何とも切ない気持ちになります。羽生先生は七冠の時代に迫る勢いの上り調子で名人位に挑戦する。受けて立つのが森内名人。その二人が戦っているのを先崎くんは解説するばかり。中倉さんという美人が相手なんだから悪くないよ、なんてことを思う人もいないとは限りませんけれどね。将棋指しの本望はやはり将棋を指すことにあるはず。初手で角の頭の歩を突いたりするような奇抜な着想を持っていた頃の若々しさはなく、外見同様将棋にも少々贅肉がついて、切れがなくなっているのではないか、などと懸念される、近頃の先崎くん。尤も、素人が……しかも、老い耄れのこんこんちきの素人が……何を言おうと栓無きことではあるし、実際、私はずぶの、いやいや、ずぶずぶの素人ですからね。全く以て失礼千万な枯木じじいだ。
先崎くんが羽生、森内両君に大きく遅れを取っていることに、人生の機微を見る人もいるかもしれない。けれども、私にはそうは見えない。それは偏に村山くんがここにいないことに起因するのであります。村山くんがここにいたら、どうだったろうか。そんなことを思ってみたとてどうにもならないのは明白なのだけれど、それでも、そう思わざるを得ない。この四人は、小学生時代からそれぞれの個性が互いに引き立て合って、極めて印象的でしたからね。テレビで眺めるだけのど素人の私の心の中にも、くっきり像が残っている。
さてさて、来週は、いよいよ決勝である。如何にも賢そうな顔をした少年、山崎六段との対戦。熱戦で楽しませてもらいたいものだが、孰れにしても、最後には、我輩の振り回す羽生扇子から巻き起こる神風のお蔭で、羽生先生の勝利に終わるのでありますよ。
投稿者 nasuhiko : 2005年03月13日 21:06
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