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2005年02月02日
首輪
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男が首輪などとんでもない。そんな考え方は古かろうか。古いとお思いの方もたくさんおられるかもしらん。いや、近頃のお若い人々は、金髪、茶髪、オレンジ、緑、と様々に髪を染めいたり、耳のみならず、鼻や眉ににピアスをしている人さえいる。もしかすると、男子の首輪というものもそれほど珍しくはなくなってきているのかもしれない。私らの若い時分には、結婚指輪でも少々面映ゆいというような気さえしたものなのだが。
私と言えば、学生時分からジャズを齧ってみたりはしたし、後にはフランス人の女房をもらい、つい最近ではギグなるものに赴いた経験さえ持つものであるけれども、御想像に難くなく、どちらかと言えば、古臭い男である。七十過ぎて古臭くない方が不自然ではなかろうか。兎にも角にも、男のくせに、首輪なんぞするものは、ちゃらちゃらちゃらちゃらと薄っぺらい鈴の音でもしそうだ。決して、好ましからざるものである。西洋人だって、年寄りは首輪なんぞしたりはしておらんだろう。
本日は、田村師匠と円嬢が遊びにみえた。ギグ以来のことである。陽も傾き始めたところだったので、早速、一献。
「茄子彦さん、マックやってると肩こるって言ってたでしょ」そう円嬢が切り出した。確かに、そんな話をした覚えがある。実際問題、コンピューターの前で一時間も過ごすと目はしょぼしょぼするし、肩は大いに凝ってくるし、慌てて起ち上がろうとしたりすると膝の関節がぎしぎし痛むこと甚だしい。道すがら、話題に窮して、そんなどうでもよい愚痴を零したのであった。「でね、このネックレス、プレゼントしまあす」と差し出されたのはグレーのゴム紐みたような代物である。彼女の説明によると、肩凝りに効く魔法の首輪なのだそうである。騙されたと思ってしてみてくれ、と。正直に申して、男のくせに首輪なんぞ……と思って、生きてきた老爺の私、そう簡単に宗旨を変える訳にはいかんのである、と思ったのであります。思ったのであるけれど、しかし、このようなうら若い女性からの贈り物を無碍に断るべきものではないのも筋。手っ取り早く言えば、五分もせぬうちに、首にしておりました。ふん、笑わば笑え。全く口ほどにもないじじいだよ。
少々長過ぎるとのことで、円嬢の手でぐるぐると編まれて、程好い長さに調整された首輪は、何だか、狭い狭い我が庭に出入りする、宇宙人面した猫くんの首輪と似ていなくもない。まあ、だが、しかし、良いではないか。これで肩凝りが幾分でも減じるのであれば……そうは言っても、外出時や来客時には外してしまうのでしょうか……しまうのでしょうね。やはり、男児たるもの首輪なんぞ……ううむ、実に難しい問題である。
投稿者 nasuhiko : 2005年02月02日 18:27
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