« デジタルカメラの01 | ホーム | ライヴハウスでギグ02 »
2005年01月26日
皮膚科へ
![]()
ここのところの連日の深酒が祟ったせいか、額に湿疹様のものができ、矢鱈に痒くなる。あまりの痒みに耐えかね、近所の皮膚科に向かう。二十年振りのことなので、まだやっているかどうか不安だったが、他に付き合いのあるところがあるでなし、取り敢えず、麻田醫院を覗いてみようか、と。とぼとぼとぼとぼと緩やかな坂を上っていく。ああ、あるではないか。この町のあちらこちらで、様々なお店やお医者が看板を下ろしてしまった。それはこの辺りに限ったことではないだろうし、時とともに町だって移ろいゆくものなのである。けれども、七十年あまりもここで暮らしている老いぼれが寂しい気持ちになるのはしかたがない。
老残の身を曝して生きる奴吾如きが言うのもおかしな話だが、待合室にいるのは老人ばかりである。しかも、私よりも年輩の婆さん連中ばかり。皮膚科なので、大病に苦しんでいる体の者はおらず、井戸端会議に花を咲かせている。私が入っていくと、一瞥の後、無視無視無視無視無関心。要するに、相手にするほどの者ではないという判断なのだろう。ふん、此方人等だって、手前どもみたいなばばあの相手なんざしておれん。
待つこと暫し、大変優しい看護婦さんに誘われ、診察室に入ると、ははあ、やはり代替わりしている。考えてみれば、先代は、二十余年前に、既に、爺さんの風貌であったのだ。亡くなっていてもおかしくはない。帝大出で英語、独逸語の原書を海外から取り寄せて読んでいる、という噂のあった、勉強家だったが、息子の方は、こう言っちゃ何だが、似ても似つかず、私学の医学部に寄付金付きで何とか入れてもらったと評判になったことさえある。まあ、近所の口さがない噂話なんざ当てにならないものだし、そもそもそんなことはすっかり忘却の彼方に置いてきてしまったはずだったのだが、御当人の只管のんびりした顔を見た途端、突然、こんなどうでも良い記憶が蘇った。老耄の脳の構造は如何なる具合になっているのやら。
「おでこですか。ははあ、確かに赤くなっていますな」「近頃、飲み過ぎてまして、ええと」人の話をみなまで聞かず「うんうん、そうかもしれませんね。他にお医者さんにはかかっていますか」と尋ねてくるので、若先生のところに月に二度ほど出向いて、日に錠剤三十錠、薬包二つを服用していることを伝える。
「ほうほう、そうですか。それじゃあ、薬負けかもしれませんねえ。はい、もう結構ですよ。お薬出しておきますね」と、あっという間に診断は終わり、診察室を追い出される。それにしても、薬負けかな、と言いながら、更に薬を服用させようとするとは何事ぞ。一体、西洋医学とはどうなっておるのだろうか。釈然としない話である。少なからず、心配になってきたので、西洋医学とは絶縁して漢方の先生でもみつけようか、という気にさえなる。
でこ痒し 枯れ木も山の賑わいか
待合室に 枯れ尾花
駄洒落混じりのふざけた三十一文字を連日読まされる身にもなれよ、と申されますか。ははあ、以後、慎みます。
投稿者 nasuhiko : 2005年01月26日 11:43
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://bokenasu.net/mt/mt-tb.cgi/80