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2005年01月19日

icon町並


 居間の蛍光灯が切れてしまった。電球てえやつは何故こうも頻繁に切れてしまうのだろうか。電球会社はもっと耐久性のある製品を開発すべきであろう。しかしながら、耐久性の高い電球を売ったら、交換の需要は激減してしまう。それじゃ商売上がったりか。あれこれと技術の進んだこの世の中で、電球の切れる頻度は、寧ろ、昔よりも多くなったような気さえする。企業努力が足りないどころか、適当な期限が過ぎたら切れるような、時限爆弾的な電球を販売しているのではないか、と、勘繰りたくならなくもない。強ち冗談でもありませんぞ。
 近所の電気屋さんに電話して、交換に来てもらう。蛍光灯は一本切れると次々に切れるので、まだ点灯するものまでまとめて新しいものに替えてしまうようにしている。電気屋の長男坊……と言っても、彼もいつの間にやら五十ほどにはなろうとしているだろう……は丸いのを大小二本ずつ、長いのを八本、風呂場の特別長いのを一本、担いでやってきた。毎度のことなので、細かい説明などせずとも準備万端整えて御登場。ちゃっちゃか作業を始めた彼だが、突然、大きな声をあげる。「あれえ、マックじゃないですか。お、デジカメなんかもありますねえ。しばらく来ないうちに進んじゃったなあ。びっくりですよ」そんなことを宣ふておる。へへ、ちと鼻が高くなろうてえもの。
 気分が良いので調子に乗って、仕事が片付いたところで一杯勧めると、奴さんも嫌いな口じゃないから、ほいほい乗ってくる。杯を重ねるに連れて愚痴が増えてくるのは世の常か。「新宿辺りに量販店があれこれできてから、商品の売り上げは激減しましたよ。近頃じゃ、それに加えてインターネットですよ。ますます売り上げが落ちてまさぁ。このままじゃ、うちも長くはないね。嫌な世の中ですよ。草葉の陰で親父が泣きます。はは」などと自嘲的な科白が出てくる始末。
 振り返ってみると、この町の商店も随分と様変わりをしている。豆腐屋や蕎麦屋に和菓子屋、風呂屋や本屋にレコード屋、酒屋や自転車屋に煙草屋、と、消えてしまった店を数え上げれば限りがない。これが自由競争社会というものなのだろうとは思うけれど、寂しさを禁じ得ない。「ねえ」と声を掛けようと思ったところ、電気屋の長男坊は良い調子で既に鼾をかいている。

 雲の多い夜空を見上げる。あそこに見えるぼんやりした街灯が切れたときには、誰が交換しているのだろうね。

投稿者 nasuhiko : 2005年01月19日 19:10

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