« 男の料理09 | ホーム | 町並 »

2005年01月18日

icon男の料理10


 拙者、またしても呑み過ぎた、老耄の愚人である。のそのそと午後遅く起き出して、昨日の残りの「納豆と豆腐のチゲ」を食す。一日置いても美味いですなあ。宿酔の胃にも優しい。なんと素晴らしい食べ物でありましょうか。一人で悦に入っている。今晩もまた作ろうかと考えていると、お邪魔します、と玄関から師匠の声がした。
「材料を揃えてきましたよ」そう言う師匠の横には、ややっ、うら若き女性がいらっしゃる。「こちらは円さん、美学生さんですよ。もしかしたら、『日和見』ですれちがったことぐらいあるかもしれませんね」そう言われると、何となく見覚えがあるような気がしなくもないが、何しろ、こちらの脳は老朽化著しく、記憶なんざあやふやのぐしゃぐしゃのごちゃまぜ、溶け始めた霜柱の如き有り様である。判然としない。
「茄子彦さんの話をしたら、どうしても一緒に来るって言ってついてきちゃったんですけれど、かまいませんよね」「さようですか。ろくに掃除もしておらんむさくるしいところですが、おあがりなさい」
 昨晩、電話で黴びて捨てざるを得なくなったコチュジャンの話をしたそうである。だがしかし、如何んせん、泥酔が激しく、コチュジャン云々以前に、師匠に電話をしたということ自体、全く記憶にない。面目なく、申し訳ない話である。お二人で近代美術館に「河野鷹思展」なるものを見に行ったついでに、上野を歩いて、韓国の唐辛子と黒砂糖を買ってきてくれたのである。私の嘆きが余程哀れだったのか、とひやりとしないこともない。孰れにせよ、私の如き老いぼれを気にかけていただき、実にありがたいことである。感謝無限大。
 聞けば、円嬢はお若いのに、いける口だという。早速、澤乃井をふるまう。なるほど、大した呑みっぷりである。こういうものは遺伝で決まることなのだろうけれど、それにしても立派なものである、というより、末恐ろしい、というべきか。
 美術や音楽に関して、あれこれと語り合う。この歳になって、そんな仲間を得られるなんざ、僥倖と申す外にない。今宵も、良い酔いと供に暮れてゆく。

日脚伸び 友の来りて よひの長き

投稿者 nasuhiko : 2005年01月18日 19:39

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://bokenasu.net/mt/mt-tb.cgi/72

コメント

コメントしてください




保存しますか?