2005年01月11日
謎の物体2
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昨日の謎の物体は一体何ものだったのだろうか。一晩考えてみたけれど、思いつくことはない。こうしてうじうじ考え回していても埒が明くはずもないので、誰かに相談してみようかとも思うのだが、こんな話を持ち出すと、あれだね、いよいよ茄子彦のやつも来るところまで来ちゃったようだね、妄想が膨らんじゃってさ、宇宙船が来たぞぉとか言って騒いでますよ、え、困ったもんじゃありませんか、などと近所で噂になるのではあるまいか、と心配になる。その一方で、本当に見たのだから、見た儘、有りの儘を訴えれば良いではないか、とも思う。正論である。だが、しかし、私の如き老耄で朦朧としているじじいと比較しては申し訳ないけれども、「それでも地球は回っている」と呟いたガリレオ・ガリレイの例だってあるのである。つまり、如何に正しいことを述べていたとしても世間に理解されぬことは往々にしてあるのだ、と。ソクラテスだって死刑を宣せられたではないか。『水戸黄門』や『大岡越前』のような時代劇、あるいは、子供向けの何とかライダーとか何とか軍団というような番組では、勧善懲悪が約束されているけれど、現実世界ではそうはいかない。嘸かし立派で高潔で有能であるはずの裁判官や警察官や弁護士のようなお偉い人々が寄り集まって頑張ったところで、冤罪を完全になくすことは不可能なのである。それが世の現実なのである。あるいは、それが人間てぇものでがす、と言うべきかもしらん。
ガリレイやソクラテスは自説を曲げず、刑を甘んじて受けることを選択した。実に立派な話である。それに対して、何だ、このじじいは。近所や知人の口の端に上るのではないか、と怖じて、自分が見たものを正々堂々と述べることもせんというのか。情けない。ああ、情けない話である。謎の物体を見たという事実を、己が胸の内に大事に大事にしまい込んで墓穴の中まで持って行こうというのか。そんな風に思ったら、どうにもこうにも自己嫌悪感がひしひしと押し寄せてきて、堪らず、澤乃井に手を伸ばす。今日も美味い。美味いのである、澤乃井は。そして、酔いに任せて、謎の物体を見たんだぞ俺様は、と、こんな人気のないところで息巻いている次第。嫌な老人だよ、全く。
冬晴れの宙 謎の舟 銀河色
投稿者 nasuhiko : 2005年01月11日 18:19
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