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2005年01月08日
小さな来訪者03
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年を越してから、はじめて、例の猫がやってきた。「おめでとうございます」と声を掛けてみたが、間の抜けた面でこちらを見上げるばかりで、にゃあとも寸とも言わない。ことによると、寧ろ、先方こそ、間の抜けた面で見下ろすばかりの耄碌じじいだなあ、と思っているのかもしれない。兎にも角にも、正月である。いや、世間では正月気分は終わっているのかもしれないけれど、私にとっとてはまだまだ正月なのである。何しろ、陽の高いうちから酒を呑む毎日。「おい、猫くんよ、乾杯とはいかないだろうから、これでもつまみたまえ」と蒲鉾を千切って放り投げる。鈴廣の蒲鉾だぞよ。猫の味覚は正直だろうから、その美味さがよくわかるのだろう。がつがつがつがつ、あっという間に食べ終えてしまった。喰い終わってしまうと、先程と同じような、呆けた顔つきでこちらを見上げる。物乞いする風情ではなく、ただただぼうっと見上げている。その表情が、何とも憎からず、また一切れ、放り投げる。がつがつ。また一切れ。がつがつ。そんなことを繰り返しているうちに、蒲鉾はすっかり彼奴の腹の中に収まってしまった。まあ、良かろう。先方は、摂取した栄養分を成長に利用する。同じ呆けもの同士とはいえ、こちとら老い先短い老耄の身、滋養はぽんこつ脳みそとぽんこつ肉体を少しく維持する役にしか立たぬ。それに加えて、私には澤乃井がある。あはあはあは。
蒲鉾がなくなってしまったので、今度は、ヤマサの竹輪である。これがまた何とも美味く、最適の肴である。「ほれほれ、猫くんよ、もう少しやってみるかい」と放り投げる。やはり、がつがつと一気に飲み込むように食す。もう一切れ、もう一切れ、と同じことの繰り返し。これで、私らは竹馬の友ならぬ竹輪の友だね、などと、苔生した駄洒落が出るようでは、そろそろお開きにするが良かろう。
喰い積みの蒲鉾分け合う 竹輪の友
投稿者 nasuhiko : 2005年01月08日 17:10
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