« 日和見の忘年会 | ホーム | 恵子くん来訪09 »
2004年12月28日
恵子くん来訪08
恵子くんが亡くなった日と私が最後に会った日の辻褄が合わないのが、まだ気にかかる。本人は既にこちらの世界にはいないのだし、自宅で静かに独りで亡くなったということであれば、日を特定することが難しかろうことは想像に難くないし、そもそも、特定することに何か意味があるのかと問うてみれば、そこには大きな意味があると言い張る何ものもない。だが、しかし、それでも気にかかるのだから、困ったものだ。家に籠ってやきもきしていていても埒が明かない。古市に電話することにした。
「おう、なんだ、珍しいな」「うん、実は、恵子くんのことなんだよ。詳しい事情は君に聞けって言われたものだから」「高部の妹のことか。ちょっと酷い話だからなあ。あんまり気が乗らんよ。やっぱりね、独居老人ってのは大変だよ、うん。うちが扱っているところにもさ、結構、独居老人さんがいてね、高部の妹の一件以来、事務の若い子に週一で声をかけて回るようにさせてるよ。いや、ほんと、そうでもしないとね。そういや、おまえも独居老人だよなあ、あはは。ああ、すまん。笑い事じゃないな。うちの若いやつにおまえんちにも毎週声かけさせようか」「いやいや、それは遠慮しておくよ。しかし、そうか、君が気乗りしないというぐらいだから、さぞかし大変だったんだろうね。可哀想なことをしたね。残念だ」「ああ、残念だな。もっといろいろ知りたいのか。電話じゃまどろっこしいなあ。今晩はちょいと忙しいから、明日はどうだ。久し振りに一杯やろうや」
ということで、結局、飲む約束をして受話器を置く。
夕刻、若先生のところに出向き、薬をもらう。朝晩、飲む薬包がひとつずつ、毎食後に錠剤を十ずつ。随分前に、それぞれ、どんな薬なのかを教わったのだが、一々覚えているわけもない。こんなにたくさんの薬を飲み続けてどうなるものか、と時々は思うものの、今更、あれこれ自分で調べてみたりする気力もなく、与えられるままに服用するばかり。確かなことは、この薬を飲み続けても、飲まなくても、遅かれ早かれ、どうせそのうち死が訪れるってことである。それは私に限った話ではないけれど。
投稿者 nasuhiko : 2004年12月28日 07:27
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://bokenasu.net/mt/mt-tb.cgi/51