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2004年12月24日
恵子くん来訪07
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昼間から酒を呑むのが常態のようになってしまっている。鬱々とした気持ちから離れられないからである。酒を呑んだからといって、辛気の病から開放されるわけではないのだが、気がつくと、手を伸ばしている耄碌じじい。もっとも、こんな時でも、澤乃井は裏切らない。陰々滅々鬱々していながらでも、美味いものは美味い。
最後に恵子くんが訪れたときのことを振り返る。十二月の初めのことである。そう遅くない午後にやってきて、静かに杯を酌み交わしたのであった。暗くなる前に帰っていく彼女の後ろ姿に、夕陽が紅く降りそそいでいた。明確に記憶に残る光景である。故人の最後の記憶が美しいのはありがたいことである。
しかし、よく考えてみると、矛盾があるのに気づいた。彼女は十一月の初旬に亡くなったはずではなかったか。そんな馬鹿な話があるだろうか。慌てて、日記をひっくり返すと、やはり、来訪したのは十二月の三日のことである。亡くなってから、一ヶ月してからやってきたというのか。情報通の筈の古市も意外に当てにならないものだな。いや、それより、検死の判断があやふやなのかもしれん。しかし、ポストから引き出されていない新聞の日付から死亡日を特定したと言っていたのではなかったか。わからない。アルコールに浸り切った脳みそで考えたって、何も導き出せはしないだろう。取り敢えずここは一旦疑問を打遣っておくことにしよう。
ぼんやりと独りで飲み続ける。
酔った勢いでカメラを持って、カシャカシャとあれこれを撮影する。どこからかクリスマスの音楽が幽かに聞こえる。
針葉樹の多くは冬になっても緑を失わない。濃い叢雲に月が覆われ、闇に包まれた夜にもその緑は失われない。光がなければ目には見えない、という、ただ、それだけのことである。
投稿者 nasuhiko : 2004年12月24日 09:56
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