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2004年12月22日
恵子くん来訪05
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木澤くんから聞いた話を反芻している。反芻というような表現が適切なのかどうかは兎も角も。
恵子くんが亡くなったのは、かれこれ六週間ほど前になるそうだ。十一月の初旬ということになろう。正確な日付はわからない。というのも、彼女は生涯を独身のまま過ごし、実家に独居という身の上だったからである。最近では、親類縁者との交流もあまりなく、真面目で地味な性格であったせいか知人も多くなかったようで、数年前に教壇を離れてからは、連絡を交わす相手は数えるほどでしかなかった、というより、殆どいなかっただろう、とのこと。その彼女が書斎で倒れ、そのまま死に至ったのだという。検死の結果、脳卒中が死因とされているようである。恐らく、彼女自身は何が起きたのかもわからぬ間に、苦しむことなく静かになくなったのではないか、とのこと。これが木澤くん宅を訪れた古市が齎した情報である。代々の不動産屋で良男くん宅の近所にも知り合いが多く、役所や警察などにも顔が広い。なるほど、あいつならこれぐらいの情報収集が可能なのだろう。
苦しまなかったであろう、ということが不幸中の幸いではある。けれども、訪うものがなかったために、発見されるまでに二週間ほど経過してしまったというのが何とも痛ましい。死亡の日付はポストから溢れていた新聞から推定されたようだ。学生時分に慣れ親しんだ高部家の玄関に新聞や郵便物がばらばらとこぼれ落ちている図を想像してしまう。
考えてみれば、私自身も独り暮らしの老人である。いずれ同じ道を辿る可能性も少なくはない。身に滲みる話である。私のような老人に限らず、東京には学生さんだの何だのと、独居する人が多いはずだ。今まで身近でそのようなことがなかっただけで、この町のどこかで、毎日、繰り返されるありふれた光景なのかもしれないなあ。しかたないこととはいえ、何とも寂しい気持ちになる。
身も心も寒々とする、物悲しい年の瀬となってしまった。
投稿者 nasuhiko : 2004年12月22日 11:02
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