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2004年12月09日

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 兎にも角にも材料を揃えなければ何も始まらない。普段はコンビニエンス・ストア、あるいは、昔ながらのスーパー(それも殊更小さいところ)に出向くだけの私だが、勢いのあるうちに、ということで、数階建ての大型店舗に乗り込んだ。これがいけなかった。いけなかったのである。こういうところは初めてだが、要するに、デパートから高級感を取り払い整然かつゆったりとした気取り気味の様子を放棄した感じとでも言えばいいのか、窮屈でごたごたしていて、右往左往している人々も決して洒落込んだりはしていない。全くの普段着である。店員も男性は作業着様の、機能的なようなただ見苦しいような、そんな服装を、女性はテレビCMで見る金貸しの女性の制服のようなものを着用していて、お世辞にも見栄えが良いとは言い難い。もっとも、このような店が見栄えの良さで勝負しているわけではなかろうけれども。
 再開発が進む以前の駅前の路地めいた市場の、やや閉塞感を伴う雑踏と似ていなくもない。批判をしているわけではない。有り様をそのままに伝えようと思っているだけである。私は、元来、このような混沌とした人が人らしく活動する様は嫌いではない。けれども、このような場は、想像以上に活力を要するのである。私のようなじじいともなると、最早、この人混みの中にいるというただそのことだけで、いつ倒れてもおかしくないほどの疲弊感に襲われる。集団の混雑の圧迫感というのは事程左様に凄いものである。
 急いで必要なものを手に入れ、とっとと家に帰ろうと思えども、混み合った大型スーパーの中にあっては、何がどこにあるかを把握するのは大変困難である。目を細めてあちらを眺め、こちらを眺め、それでも埒が明かず、若い女性店員に声をかけたところ、「おじいちゃん、そこは人が多くて危ないわよ」と手を取られ、脇に連れてゆかれ、「何がほしいのかなあ〜?」と幼児を扱うかの如き態度に我慢がならず、拙者は確かに一介のぼけ老人に過ぎぬが、斯様な体で貴女の手を煩わせるつもりはござらん。失礼。
 到頭何も買わずに出てきてしまった。馬鹿である。
 今になって思えば、優しい少女の思いやりを無にする、礼を失した行為であったと反省すること至極。申し訳御座居ませんでした。私の不徳の致すところでありました。

投稿者 nasuhiko : 2004年12月09日 00:00

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